-第1章・破壊-

『えっと、あの、いまの紗輝に近づいちゃ危ないんです!」
「はぁ? どういう――む?」

しゅ・ぅ・ぅ・ぅ・・・

「な・・・なんだありゃぁ・・・」
紗輝の機体から紫色のもやが出ている。

グシャァッ
紗輝の機体の右腕が、MTを貫いていた。
「!?」
ライフルごと。
『お願い、敵だけ・・・敵だけ倒して!』
――ズッ
右手が引き抜かれる。ライフルはひしゃげていた。
機体が不気味に揺れ、さらにもやが噴き出す。
そのもやは機体の後方に収束していき、不気味な光を放った。

カッ
『きゃぁっ』
紗輝の機体が圧倒的な速度で、ほぼ水平に跳んだ。
超高速移動を可能とするオーバードブースト…に似ているが
このコアにその機能はついていない。
つまり、通常ブーストだった。速度を除いて。
あまりにも速すぎるブーストダッシュ。
そこから一瞬にして距離を詰め、MTと接触する――

斬!
すさまじい速度で敵MTに直進、斬り伏せる。
いや、粉砕していく。
ブレードで斬った部分が、文字通りバラバラになっていた。
さらによく見てみると、ブレードの刀身の色が変わっている。
ブレードそのものは旧式のものなのだが、紫色の刀身。
破壊力も明らかに旧式ブレードのものではない。
最強のブレードであるムーンライトにも匹敵するだろう。

粉砕されたMTが崩れ落ちる。
即座に機体が振り向き、次のMTへ。

紗輝の機体は正確にMTに直進していく。

斬撃。
やはり、なにかがおかしい。
ブーストの連続使用は大量にエネルギーを消費する。
しかし、紗輝の機体の動きは止まらない。
「旧式ジェネレータじゃ…いや、既存のどのジェネレータでも
 ありえねぇな。しかも、あの精密な高速移動…
 なんなんだあれは?」

その後、作戦はすぐに終了した。わずか1分たらず。
敵MTが全滅したあと、紗輝の機体のエネルギー反応が消えた。
オーラスが駆けつけたときには、すでに動くものはいなかった。

「こりゃエネ切れどころじゃないな。まったくエネルギー反応がない」
紗輝の機体に近づき、通信を入れる。
「おい紗輝、大丈夫か?」
『・・・
 ・・・ぁ
 ・・・は、はい・・・なんとか・・・。
 えっと、敵は全滅しましたか・・・?』
「あぁ、まぁ、全滅してるぞ」
『よかっ・・・た・・・』
「ん? おい、しっかりしろ、おい!」
通信が切れた。


その数分後、回収の輸送ヘリが到着した。
「力は見せてもらった。ようこそ、新たなレイヴン。君たちを歓迎しよう」
「・・・だとよ。良かったな紗輝、合格だ」
「・・・く〜・・・」
スピーカの向こうから小さな寝息が聞こえる

「ふむ、街に戻ってからゆっくり話でもしてみるかな・・・」
世の中には常識はずれな子がいるものだ。
つくづくそう思ったオーラスだった。

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